不公正取引は、不正行為、風説の流布等、相場操縦行為等を言い、金融商品取引法第185条の22~24で禁止されており、違反した場合は、10年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金、又は併科となります。(利益を得る目的の場合は10年以下の懲役及び三千万円以下の罰金となります)
1.不正行為(金商法第185条の22第1項)
暗号資産の売買等について、重要な事項に虚偽の表示がある、又は重要な事実の表示
が欠けている表示を利用して金銭その他の財産を取得すること。暗号資産の売買等
を誘因する目的をもって、虚偽の相場を利用することなどです。
2.風説の流布等(第185条の23第1項)
暗号資産の売買等のため又は暗号資産の価格の変動を図る目的のために行う行為で、
行為者が直接経験又は認識していない、合理的な根拠のない事実を不特定多数の者に
流布することです。価格を変動させる目的で、「デマ」や「根も葉もない話」または
「根拠のない話」など虚偽の情報を流すことです。他人を錯誤に陥れるような手段を用
いて詐欺的な行為を行うこと、徒に他人の射幸心をあおるような言動を行うこと、暴行
又は脅迫を行うことです。
3.相場操縦行為等(185条の24第1項第2項)
暗号資産の価格を意識的、人為的に変動させ、その相場をあたかも自然の需給によっ
て形成されたものであるかのように装い、他人を誤認させ、その相場の変動を利用して
自己の利益を図ろうとすることです。
(1)仮装売買
第三者に誤解を生じさせる目的で、同一の投資者が売買双方の当事者となり、権利の移転・金銭の授受を目的としない取引を行うことです。同一人物が自らの売り注文と買い注文を約定させる行為を繰り返すことは、取引が活発に行われていると他の投資家に誤解させる目的を持った「仮装売買」と疑われる可能性があります。
(2)馴合い売買
第三者に誤解を生じさせる目的で、自己の売付け(買付け)と同時期に、それと同価格において他人が買付ける(売付ける)ことをその者とあらかじめ通謀のうえ、当該売付け(買付け)を行うことです。売り注文と買い注文の発注者が異なる場合でも、あらかじめ約束の上、複数名の売り注文と買い注文とで約定を繰り返すことは、「馴合い売買」の疑いをもたれる可能性があります。
(3)見せ玉
自己の注文を有利に約定させるため、約定させる意思のない大量の発注を行い、他人に相場の状況を誤解させることです。大量の買い(売り)注文により、一般の投資家に「多くの買い(売り)注文が入っているので、価格が下がり(上がり)にくい状態だ」と誤解させて価格が下がる(上がる)のを防ぎつつ、自己の保有通貨を買った値段よりも高く売り抜ける(安く買い付ける)ことを意図して行われます。「見せ玉」は外形的な状況により判断されるため、自らの売り(買い)注文が約定した直後に、買い(売り)注文の全部(一部)を取消す行為は、他の投資家の注文を誘引する目的を持った「見せ玉」と疑われる可能性があります。
(4)取引誘引行為
暗号資産の売買等を誘引する目的で、暗号資産の価格が自己又は他人の市場操作によって変動する旨を流布させること、重要な事項につき虚偽又は誤解を生じさせる表示を故意に行うこと、暗号資産の売買等が繁盛であると誤解させる取引を行うことです。大量に特定の暗号資産を保有する利用者が一斉に売却するため、先に売却するほうがよいなどと根拠のない噂を故意に発信し、情報の拡散を図るなどの行為が該当します。
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